時の鐘の登れない階段
その日はお天気が良くて
バスは人通りの多い街並みを
透明な窓を開けてゆっくりと走っていた
窓からの風が心地よくて
肩のショールがちょっと暑い気もしたけれど
わたしはちいさなかごバックを膝に乗せて
バスの後部座席に座っていた
友人からほんの少し離れて
確かにわたしはそこに存在していた
バスの窓から
ふわりと風鈴の音が入ってきた
あっ風鈴・・・優しい音・・・
その時ふわりとして目を細めた私は
一瞬の美しい光景と優しい音に翻弄された
たくさんの風鈴が
骨董屋の店先に並んで揺れていて
音はすぐにバスの窓から出ていった
時の鐘の登れない階段を見ていたわたしが
時を越えた懐かしさと美しさを
思い起こしたみたいに
それは一瞬の出来事だった
帰りに骨董屋の前を歩いた時は
入口が閉まり風鈴は揺れてもいなかった
覗き込むと
ちいさな金色の仏像が所狭しと並んでいた
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何かを見たり、聞いたり、感じたり・・それが過去の記憶でも、また、それが過去に体験したものではなくても・・ノスタルジアに浸れるようなものってありますよね。
僕は古い洋楽が好きなのですが、それが子供の頃に聴いた曲でも、僕が生まれる前の曲でも・・言わば、・・懐かしさが、本物でも、偽物でも・・仕事から解放された休日に古い洋楽を聴いていると何故か心が和みます。
投稿: ボーチャン | 2012年5月12日 (土) 10時23分
ボーチャンさん、ありがとう。
ももさんはね、ワイン売り場で洋楽を聴くと、
嬉しくなります。
古い街並みも、素敵でしたョ。
すべてが絵画のように見えました。
美しすぎる光景も、心和むメロディも、
罪ですね
よかったら、またここにきてくださいね。
投稿: もも | 2012年5月14日 (月) 20時18分