喘息なわたしと夜桜とお月さま
わたしは夜桜とお月さまが見たくて
我がままを言っていた
いつもわたしの夢や願いは
できないことばかりで
できないことを言っているとは
友人が知る由もなかった
彼はわたしの願いを
叶えてくれようとしていた
わたしは願いを叶えてもらえるなんてことを
すっかり忘れていた
その日はなぜか冷蔵庫にいるみたいに寒かった
長い時間ふたりで外を歩いた
夜風がいけないのは知っていた
駅の階段を登ったり
電車に乗ったり
人ゴミを歩いたり
公園を散歩したり
できないことはわかっていた
なのにわたし
彼に何も言えなかった
発作を起こすかもしれないから・・・
無理なの・・・
これ以上歩けない・・・
そこまで言葉が出てきているのに
体と気持ちが凍りついたみたいになって
怖くて何も言えなかった
彼の万歩計によると
11.57km
2時間53分歩いていた
まるで普通の女性みたいに歩いていた
歩きながらどんどんと私は気弱になっていった
何をドクターに禁止されて何が無理なのか
不安な気持ちも怖い気持ちも
つらいことも苦しいことも言えなかった
変に我慢していて
喘息の話をしたら彼に悪いと思って
気を遣ってもいた
まさか自分が何も言えなくなるとは
思ってもみなかった
とても危険で怖い思いをした
喘息と診断されてから
こんなに怖い思いをしたのは初めてだった
家に帰ってから
ずっと私は悩んでいた
どうして何も言えなかったのか・・・
そこに大切なことが存在しているような気がして
それがどうしても知りたくて悩んでいた
喘息の私は
恋も何もしない方がいいのだと思った
・・・できないと思った
その後姉に
死んでいてもおかしくないと 怒られた
わたしもそう思った
« あるものねだり | トップページ | さよならの前のロゼピンク »
コメント