« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

2013年2月に作成された記事

2013年2月27日 (水)

風見鶏の唄

デジブック『 風見鶏の唄 』
http://www.digibook.net/d/2cc5a77b81d906306d862f263c5846df/?m

Collage403

31作目

歌うたう手紙です

小鳥・・・

の場面では本当に小鳥がいるので

探してみてくださいね

2013年2月 3日 (日)

僕は病院前のイチョウの木

僕はひとりの女性を見ている

僕は彼女が通っている病院前の

イチョウの木

その女性は

ももという名前だ


栗色の長い髪

青白い顔

ざっくりとしたセーター

身長は僕より低くて

158センチ

何を考えているのかわからない

気になる女性

いつも忙しそうに慌てて

僕の前を通り過ぎる


病院へ入ると

自販機でお茶を買って

呼吸器内科の待合室に座る

座ってまっすぐ前を見て

何か考え事をしていると思ったら

壁にもたれている

ゲーテのウェルエル 

星の王子さま

本を読んでいると思ったら

居眠りをしている

ラフマニノフ 

マーラーとかいう音楽も

聴いているようだ


待ち時間

ひとりになれる時間を楽しんでいる

診察室に入ると

なにやら笑いながら話している

そしてすぐに出てくる

それから慌てて薬局に向かって

そこでジャスミンティーを飲む

また

忙しそうに僕の前を通る

その時

僕を見上げるんだ


つらそうな顔

元気そうな顔

悲しそうな日

笑っているような日

僕は呆れてみたり

笑ってみたりしている

今にも声をかけそうになることを

我慢しながら

でも

もうさよならなんだ

僕はもうすぐ切られてしまう


嬉しそうなももに

黄色な葉を

振りかけることもできない

黄色いじゅうたんみたいね・・・

そう小声で言って喜んで歩くももを

笑顔を

もう見ることもできない


ならば

ももが目の前にいる間に

黄色な葉を

振りかけられる時のなかで

ももに手が届く時のなかで

この気持ちを伝えておけばよかった


いつも僕は見ているだけだけれど

本当はいつも君のことばかり考えていて

誰よりも心配していたんだ

好きだよ ありがとう

ごめんね 

さようなら   もも


春になって僕の体から芽が出た時

ももは気付いてくれるだろうか

もう

遅いだろうか

« 2013年1月 | トップページ | 2013年3月 »

無料ブログはココログ

momo

  • momo