« 2015年1月 |
トップページ
| 2015年3月 »
彼にチョコレートを渡してから
6度目のバレンタインだった2月が
終わろうとしている
はじめの頃はただ
逢えなくなった彼に
もう一度逢いたかった
なぜか一生
逢えないような気持ちになって
苦しくて
ぐすぐすと涙を流していただけだった
だけれどいつからか
彼の存在が
わたしに勇気をくれて
逢えなくても
読んでもらえないラブレターを
描き続け
昨日なかった花が
今日は咲いている喜びを
知ることができた
彼がどれくらい素晴らしいひとで
心を痛めていることが
どれくらいあるのか知らないのだけれど
5年も6年も
恥ずかしいくらいに
変わらず遠い彼を好きでいる
これは紛れもない真実で
いつまでも
今も彼に
勇気をもらっている
以前のわたしより
今のわたし
少しは成長したかしらと
誕生日に考える
成長していたら
嬉しい
誰と比べるわけでも
ご近所の何かと比べるわけでも
なくて
わたしと
わたしを比べたら
以前より
背筋をぴんとして
カイゼル髭をくるりんとさせた
自慢げなわたしがそこにいた
ちょっと偉そうね
誕生日おめでとう
高原をドライブすると
広大な風景に圧倒されるのだけれど
牧場は牧歌的で
牛が草を食べている姿が
遠くに見える
売店のヨーグルトが
とてもおいしくて
白樺の森のなかで
座って食べていると
ホーホケキョ
ケキョケキョケキョと
聞こえてくる
真似をしてみると
鳴き声は近づいてきて
ちょんちょん
ちょんちょんと
木々を少しずつ渡ってきた
ウグイスの姿が見える
不思議そうにわたしを覗くので
思わず笑ってしまう
わたしの実家の近くには
母方の祖父母の家があって
実家に帰ると必ず遊びに行っていた
祖父が亡くなってからは
祖母がひとりで暮らしていた
到着すると玄関で
祖母の変わらない笑顔が迎えてくれた
仏壇に手を合わせてから
庭を歩いていると
祖母が庭は危ないから
入ってお茶にしましょうと必ず言った
近所に魚屋があるので
祖母はいつもそこで
さわらの刺身を予約してくれていて
お土産用のパックのなかには
おなかの切り身と
背中の切り身が並んでいた
家族は
関東ではなかなか手に入らない
あっさりとして新鮮なさわらを珍しがっていて
優しい祖母が大好きだった
祖母が亡くなってから7年になる
帰るとき
いつも見えなくなるまで
手をふってくれていた
祖母のことを思い出す
祖母は若い時に
肺を患っていたらしい
だけれどわたしには
笑顔で物静かな祖母の記憶しかない
春になるとメロンソーダみたいに
泡立つ海岸があって
土産物屋には浮き輪や魚
星の砂を売っているのだけれど
賑わう海岸を横目に
少し車で走ると
人気の少ない
静かな白い砂浜が見える
車から降りて
草の生えた岩の階段を降りると
遠浅で透き通った海が広がる
さらさらの砂は
裸足でも痛くないほどで
転がる貝殻たちの
波打ち際を歩いてみると
海の香りと
静かな波が砂を
優しく撫でているさまに
心が洗い流されたようになって
いつまでも海を
眺めていたくなる
幸せなバレンタインを
お過ごしください
« 2015年1月 |
トップページ
| 2015年3月 »
最近のコメント