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空が青ければ
わたしがあなたを好きだから
空が青いのかしらと
もしかしたら
あなたが
わたしを思い出したから
今日は空が青いのかしらと
勝手なことを想う
風がふけば
わたしがあなたを好きだから
風がふいたのかしら
あなたがわたしに何かささやきたくて
風がふいたのかしらと
目を閉じる
あれから
もう何年も経ってしまったから
きっとあなたは
わたしのことを
思い出す日もないでしょうけれど
最後にあなたが
誰かとお話ししている背中を
涙をにじませて
少しだけ見たとき
お久しぶりですなどと
ひとこと声をかけていたら
長い時間のいたずらは
ちょっとしたいたずら
くらいに
思えたかもしれない
いまわたし
笑った
なぜかわたしは
あなたのことが
いつまでも好きなのです
入学式も無事に終わり
学校のまわりをお散歩していたら
美しい公園を見つけて嬉しくなり
桜の木のしたに
大きな石があったので
腰掛けてみたりしたのだけれど
結局いつもみたいに道に迷って
どこか休める場所はないかしらと
探すことになった
祖父母を思い出す風景を見つけたので
一件のカフェの前に立ち止まる
入り口に売られていた
お持ち帰りを覗いていたら
すぐにおばさまが出てきて
優しい雰囲気に導かれるまま
なかに入った
そこには
不思議な空間が広がっていた
常連の学者先生と
おひげのおじさまが
フレンドリーに話しかけてくる
天然木のテーブルと椅子に
古い着物をリメイクした敷物が
似合っていて
お面が並ぶ壁と
和のさまざまな骨董品
アンティークな食器が
心を落ち着かせてくれる
聞いたことのない
メロディーが聞こえてきて
上質なお香の香りがしている
お茶が運ばれてきた
驚くほどおいしい
目をぱちくりさせていたら
後から入ってきたおばさまに
おいしい?と言われる
おいしい?と聞かれることは
いつも料理を作っているわたしは
ないことなので
子供扱いされたみたいで
ほっこりとした
それから
江戸っ子のいきな雰囲気で
怒涛のごとく話しかけてくる
おじさまたちの話を
わたしはニコニコしながら
聞いていた
歴史のはなし
遺伝子研究のはなし
政治のはなし
ボランティアの心得
このカフェには
華麗なる学歴のひとがくるのだけれど
何も知らないんだよ
という素敵に生きる方法
恋の おはなし
難しいおはなしは
よくわからないけれど
とにかくおもしろくて
笑った
まるで昔から
このカフェとおじさまたちを
知っているみたい
娘みたいね
そんなことを考えていたら
注文したお抹茶とお菓子が
運ばれてきた
お菓子をいただいていたら
お茶の心得があるでしょうと
おじいさまに言われる
母のはなしを少しする
ずっといていいよと
みなさまが言ってくださるので
居心地がよくなって
すっかり長居をしてしまった
メニューは少ないのだけれど
注文してから
ゆったりと作り始め
ゆったりと出してくださるので
のんびりした気分になる
息子が帰宅する時間になったので
カフェを出た
息子と同じで
わたしも新入りといった
雰囲気だったわ
毎日覗いてみよう
あまりに楽しくて
あまりにおいしかったので
たぬきかきつねに
化かされてしまったかしらと
思ったほど
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