不思議なカフェ
学校のまわりをお散歩していたら
美しい公園を見つけて嬉しくなり
桜の木のしたに
大きな石があったので
腰掛けてみたりしたのだけれど
結局いつもみたいに道に迷ってどこか休める場所はないかしらと
探すことになった
祖父母を思い出す風景を見つけたので一件のカフェの前に立ち止まる
入り口に売られていたお持ち帰りを覗いていたら
すぐにおばさまが出てきて
優しい雰囲気に導かれるまま
なかに入った
そこには不思議な空間が広がっていた
常連の学者先生とおひげのおじさまが
フレンドリーに話しかけてくる
天然木のテーブルと椅子に古い着物をリメイクした敷物が
似合っていて
お面が並ぶ壁と和のさまざまな骨董品
アンティークな食器が
心を落ち着かせてくれる
聞いたことのないメロディーが聞こえてきて
上質なお香の香りがしている
お茶が運ばれてきた 驚くほどおいしい
目をぱちくりさせていたら
後から入ってきたおばさまに
おいしい?と言われる
おいしい?と聞かれることはいつも料理を作っているわたしは
ないことなので
子供扱いされたみたいで
ほっこりとした
それから江戸っ子のいきな雰囲気で
怒涛のごとく話しかけてくる
おじさまたちの話を
わたしはニコニコしながら
聞いていた
歴史のはなし遺伝子研究のはなし
政治のはなし
ボランティアの心得
このカフェには華麗なる学歴のひとがくるのだけれど
何も知らないんだよ
という素敵に生きる方法
恋の おはなし 難しいおはなしはよくわからないけれど
とにかくおもしろくて
笑った
まるで昔からこのカフェとおじさまたちを
知っているみたい
娘みたいねそんなことを考えていたら
注文したお抹茶とお菓子が
運ばれてきた
お菓子をいただいていたらお茶の心得があるでしょうと
おじいさまに言われる
母のはなしを少しする ずっといていいよとみなさまが言ってくださるので
居心地がよくなって
すっかり長居をしてしまった
メニューは少ないのだけれど注文してから
ゆったりと作り始め
ゆったりと出してくださるので
のんびりした気分になる
息子が帰宅する時間になったのでカフェを出た
息子と同じで
わたしも新入りといった
雰囲気だったわ
毎日覗いてみようあまりに楽しくて
あまりにおいしかったので
たぬきかきつねに化かされてしまったかしらと
思ったほど
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