青空の彼と黄金の稲
なぜかわたしは
幼い頃に聞かされた
父方の祖父の弟のことが
ひどく印象に残っていて
映像のように美しく思い出されることがあった
父方の祖父は高齢でわたしが生まれた時には
もう亡くなっていたので
弟といってもまた会ったこともないひと
なのだけれども
親族のおしゃべりではこう言われていた
身長の低いひとで稲で見えないのだけれど
稲のなかを颯爽と歩いていて
数学の研究者で
とても頭のよいひとだったと
わたしは幼い頃稲より小さいひとだと
ずっと思っていて
そんな小さいひとが黄金の稲のなかを
颯爽と歩いている
まるでおとぎ話のようだと
思っていた
その会ったこともないひとと
青空の彼が
同じひとのように
思えるのだから
不思議 彼は稲より小さくはないのだけれども
« ぱくりと息をしたわたし | トップページ | 青を添えてくれたひと »
コメント