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2017年6月 5日 (月)

霧雨の森で

霧雨は

頬を撫でてくれるだろうか

森の緑を

美しく艶めかせても

わたしの頬を

撫でてはくれないだろう

わたしは霧雨の森を

歩いていた

それにしても美しい森だわ

絵本に描かれているような

三角の大木が

きれいに並ぶ空間を通り過ぎたとき

へんてこな形の椅子に

誰かが座っていることに

気がついた

グレーのパーカーを着た

筋肉質で細身の男性は

へんてこな形の椅子に座り

頭をかかえながら

物思いにふけっているように

みえた

しばらく歩くと今度は

大きな木のねっこに

誰かがうずくまっている

艶めいた緑のなかに

うっすらと見える

わたしは傘を

くるくると回しながら

立ち止まった

その男性も

グレーのパーカーを着ていて

パーカーをすっぽりとかぶり

頭がとんがっている

顔だけ見えている様子は

妖精を想像させた

グレーのパーカーは

この森の係員の制服なのだろうか

男性は突然

木の根っこから

すくりと立ち上がり

つま先立ちで空を見上げて

顔に霧雨をあび始めたのだ

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