ご先祖様かえるになる
田舎は信心深いひとが多い
ご先祖様を大切にしていて
八百万の神様と暮らしている
わたしは実家に帰ると必ずお墓参りに行くのだけれども
だらだらしていたら母が
はやく行きなさい
自転車を出すからと
おんぼろな自転車を持ってきた
お墓は遠くて山沿いの広い土地に
2ヶ所ある
というのも曾祖父の
実家が見える場所がいい
それから
無縁仏のお墓も一緒に
という生前の希望があり
曾祖父のお墓は小高い場所に
かなりの数の無縁仏と
一緒に並んでいる
ひとりで行くのはなんだか心細かった
だけれども仕方なくおんぼろな自転車で
ギコギコとお墓に向かう
途中に坂道があるので自転車を押しながら
荷台にアマガエルが乗っていることに
わたしは気がついた
細い金属のところにうまく乗っているお墓の近くに
カエルが好きそうな草むらがあるので
そこに自転車をとめてお墓参りをした
終わってから荷台を見たらまだ乗っている
ゆさゆさしてみたけれども降りない
2ヶ所目またゆさゆさしても降りない
帰り道の下り坂をきゃーなどと思いながら
自転車で下る
さすがにカエルはいなくなったかしらと
振り返ると
まだ荷台に乗っていた
実家に着いて自転車をとめ
ただいまと言ったら
カエルがぴょんと降りた
コンクリートの上をぴょんぴょんとどこかへ行った
母にこの不思議なカエルのはなしをしたら
それはももちゃんが
寂しそうにしていたから
ご先祖様がカエルになって
一緒にお墓参りをしてくれたのでしょ
お疲れ様と言いながら
今降りたのよと
言った
わたしも
そんな気がして
カエルにお礼を言いたくなった
途中鉄製の門で足をケガして血が流れていたのだけれども
たいしたこともなくて
無事カエルということかしらねと思った
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