嫌なんだね
こんなに月日が流れても
青空の彼の言葉を
ばかみたいにわたしは覚えていて
ふいに思い出しては微笑んでいる
たまに新しいことにも気づく
そんなわたしはふと彼の嫌なんだねを思い出していた
つまらないことなのだけれど嫌なんだね
なにげに彼にそう言われた時
わたしは慌てた
というより驚いた かしら
わたしいまちょっとだけ嫌な顔をした
ちょっとだけと思って
彼をまじまじと見た
今考えるとなぜ驚いたのかがわかるような
気がする
普段はきっとすごく嫌な顔をしたり
嫌なんだけどと
言葉にしたりしても
パートナーの前では
なかったことになっていて
そのことにわたしは気がついてもいなかった
だからわたしは
あの時
言葉にする前なのにと
彼を前にあわあわしていた
嫌なことをやめたと彼が言ったのも
わたしがあわあわしている
途中だった
それにしばらくして聞いた
(びっくりさせて)ごめんなさいねも
わたしが息をのんだ瞬間くらいだった
彼の気遣いや優しい言葉はわたしにだけではないと
思う
わたしは他のひとにも
同じように言われたことは
あると思う
なのに驚いて今でも嬉しいなんて
おかしなわたし
彼からしたらわたしなんてスローモーシュンで動く
髪がくりんくりん
体がくにゃくにゃしている
火星人みたいなひと
それでいて
笑ったり泣いたりややこしい
きっとわたしが
お花を眺めて
ぼんやり詩を考えている間に
彼は地球を一週している
でもいつかふたつの時計はひとつになって
お花が咲き乱れ
花火がうち上がる
わたしはいつまでもそう信じている
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