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2017年7月24日 (月)

青空の彼に会えた日

もう何年も前のことだけれど

青空の彼に

しばらくぶりに会えた日

彼はいつもと違う

JRの水を持っていた

いつもは

ペットボトルに

別のお茶を入れていた

お茶を入れてくれるひとが

いるのかしら

彼は

まぶしそうにして

片方のまゆをあげた後

準備をしていた

何度か目があった わたしから

ご挨拶をすればよかったけれど

嫌われているのではないかしらと

何も言えなかった

彼は

来てくれたんだね

ありがとうと

他のひとと話していた

彼の声を久しぶりに聞いて

嬉しかった

その後彼がバッグから

何かを取り出して

ポケットに入れたのが見えた

ビスケットの歌を

思い出した

幼い頃

ビスケットの歌が大好きだったな

優しい表情と

にっこりと笑う彼を

少しだけ離れたところから見ながら

わたしは

うつむいて微笑んだ

わたしの存在を知り

彼が嫌な顔をしなかったので

まぁ彼はそんなこと

しないでしょうけれど

それでもと

胸を撫で下ろした

帰るまで近くに行ったり

話しかけたりすることが

怖くて怖くてできなかった

帰る時になり

彼を見たら

おもしろい携帯を鳴らしていた

小柄なおばさまと

話していて

少し前のめりに話を聞いている

背中が見えたので

さようならを背中に言った 駅まで歩いていたら

花屋があって

お花を買おうかしらと思ったけれど

もし彼に追いつかれたら

どんな顔をしていいのかわからないので

買わずに歩いた

途中に

来てくれたんだね

ありがとうと

言われていたひとたちが

わたしに声をかけようとして

おまえ言えよといった様子で

詰め寄ってきたので

人混みにまぎれて

駅を少し通り過ぎて逃げた

その後

彼らと青空の彼が

一緒に活動していたので

大事な後輩だったのだわと知った

なんて声を

かけようとしていたのか

気になったけれど

息子でもおかしくない年齢だったのと

ナンパをしようとしている

雰囲気だったのとで

思わず苦笑い

会えたその日 何度かチャンスは

あったのだけれど

とにかく自信がなくて怖くて

何もできなかった

その日の写真を

彼は持っているかしら

わたしは時々眺めては

同じ時を過ごしたことを思い出して

今も恥ずかしくなっている

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