初めてのお見合い
お見合いに着る スーツを
買ってあげるから
お見合いに 行きなさい と
母に言われる
欲しかった
つつじ色のワンピーススーツを
あっさりと 買ってくれた
強制的に
初めての お見合いが
スタートした
待ち合わせ場所に 行き
仲人さんに ご挨拶をする
おみやげ相手の 男性は
なんて 可愛らしいひとだ と
いきなり 言った
きれいな色ですね
お似合いです と
つつじ色の ワンピーススーツも
ほめてくださった
可愛らしいと 言われたのは
とても 嬉かった
仲人さんに
両親からですと謝礼を渡して
ご挨拶をする
お母様の茶道と華道の流派は
なんでしたっけと
聞かれる
そこは大事なのね と 思う
若い おふたりでどうぞ と
仲人さんが 帰る
わたしはまるで 生気が なかった
相手の男性は
ドライブを しながら
ここの産婦人科病院は
叔父が院長なので
ももさんも
ここで生みましょうね と
言った
評判の良い 大きな病院だった
帰る時に
雨が降り始めたので
傘を貸してもらった
お礼を言って 車から降りると
傘は
返さなくていいですからと
男性に言われる
お辞儀をして歩いていると
男性が 大きな声で
やっぱり 傘は 返してください
必ず また会ってください と
言った
帰宅してから
わたしは両親に
断っておいてと 返事をした
まぁ
何がいけなかったの?と
母に 言われたけれど
迷いも なかった
しばらくして 仲人さんから
お見合い相手の男性に
断ったのだけれども
お見合いのルールを 反しても
なんとかならないのか と
言われて 困っている
他のひとを紹介しても
ダメなのよ と
連絡がある
両親は
かなり戸惑っていて
どうしても嫌なのか
わたしに
聞いてきたけれど
わたしには
好きなひとが いたので
首を
横にふるばかり だった
姉は
お見合いじゃなくても
いいんじゃない?
ももちゃんが
気に入ったひとなら と
言った
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