髪を洗う
わたしは
髪を洗うのを面倒に思う日がある
疲れていると
面倒くさくなる
お化粧も面倒くさくてしない そういえばいつもの温泉に行くと必ず思うことがある
露天風呂の寝湯から見える竹やぶと月が美しくて
石の枕に瞳を閉じると
タイムスリップでもしたような気持ちになる
まだ静かな日本の昔ちょろり ちょろりと
お湯の流れる音が耳元で聞こえてくる
少し肌に触れるお湯とぺたりとしたタオルのぬくもり
木の桶の香りと
誰かが木の桶を使う音
長い髪がお湯が流れる方向へ引っ張られて流れていく
姫様…そんな言葉が頭に浮かぶ
きっとわたしは前世があるなら
前世では髪を誰かに洗ってもらっていた
長い長い髪を丁寧に
確かお湯は少なくて
何かをまとい
何人かのひとにね
床屋さん(美容院ではなく)ではそんなこと考えてみたこともなかったのに
少しの水が流れるだけの
お気に入りの温泉の寝湯では
いつも同じようなことが頭に浮かぶ
それから貝合わせを見つけて
嬉しくなった
もしかするとわたしはいつの世かわからないけれども
歌を詠んでいたのかもしれない
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