川の神様
田舎にはまだ神様がいる
わたしは
実家が大好きな子供だったから
神様を信じながら育った
川の神様が
夢に現れたことがある
神様には形はなくて
ひとが勝手に形を作っていると
聞いたことがある
だから本当は姿はないのかもしれないし
姿があるのかもしれない
それはわからない
わたしは幼い日
いつも川を見ながら橋を歩いて
学校に通っていた
橋から見る川は
自然の怖さと美しさを
教えてくれた
1メートルくらいの鯉が
泳いでいるのが橋から見えると
特をしたような気持ちになったもので
危ないから覗き込まないように
親に言われてきたけれど
わたしはいつも
わくわくしながら
鯉を眺めていた
わたしは実家と実家の自然
川が大好きな子供だった
夢には
奇妙な形をした川の神様が
何度もいったりきたり
おどけた様子で川を流れている
えっ?
川の神様?違うよね
ジブリに出てくるような神様ではないの?と
わたしは夢の中で思った
するとしばらくして
しゅーと音を立てながら
神様は橋の近くに立ち上がり
優しいまなざしで
夢の中のわたしと隣にいる息子を見た
わたしは不思議と怖くはなくて
嬉しくなって
これはいい知らせだわと思い
触らせてもらいなと
息子に言った
息子はたじたじとしていた
神様は
しゅーしゅーと
髭をなびかせていて
私達が
これから挑戦しようとしていることを
優しく見守っていると
伝えているように思えた
言葉はないけれど
そんな風に思えた
わたしが子供みたいに
少し背伸びして
お髭にふれようとした時
静かにお髭をゆらしていた
すごいことよ
いいことがあるねと息子に言って
わたしは夢の中で笑った
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